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身体の中にある「尿の通り道」である尿路。
これは、腎杯・腎盂・尿管・膀胱・尿道をまとめて指し示した言葉です。
そしてこの尿路のいずれかに結石ができることを「尿路結石」と言います。
つまり、よく知られている尿管結石は尿路結石の内の一つということができます。
尿路結石には、上記のように結石が出来る場所が数か所あるので、それぞれの場所によって少しずつ自覚症状が異なったりします。
今回はこの「尿路結石のそれぞれの症状」についてご紹介します。
上部尿路に結石ができた場合
尿路のうち、より腎臓などに近い側にあるものを「上部尿路」と言い、具体的には腎杯・腎盂・尿管を上部尿路としています。
近年、臨床の現場で行われた調査では、尿路結石を罹患する人のうち、なんと95%もの人が上部結石の患者ということがわかりました。
ではまず、上部尿路についてそれぞれの器官の役割についてご説明します。
腎杯(じんはい)
そもそも腎臓と言うのは、「腎臓としての実質的な働き」をする腎実質と、その腎実質に囲まれたすきまに当たる尿路の一部「腎盂・腎杯」に分けられます。
コップを1つの腎臓とした場合、中に入れてある崩した寒天が「腎実質」、寒天と寒天の間の隙間を「尿路(腎盂・腎杯)」と例えることができます。
ただこの隙間はただの隙間ではなく、腎杯に当たる隙間は実は1つ1つが容器のようになっていて、この腎杯からは腎盂に向かって尿を排出する働きをもっています。
腎盂(じんう)
腎杯から排出された尿を集め、尿管に通して膀胱へ送る役割を担っているのが腎盂です。
組織としては、腎杯が集合してできている平べったい三角形の袋のような感じですね。
尿を膀胱へ送るための役割があるので、線維被膜と脂肪被膜に包まれているのが特徴です。
尿路から細菌が入り込んだ場合に、腎盂腎炎などになることがあるので、「腎盂」というのは耳にしたことがある人も少なくないでしょう。
尿管
腎杯・腎盂で集められた尿を膀胱に送る役割と持っており、名前の通り「くだ」として働きます。
上部尿路結石の痛み
上部尿路結石の特徴としては、腎盂や腎杯でできた結石が尿管を下り、尿の通過障害を起こしてしまった場合に耐えがたい激しい痛みが生じるのが特徴です。
この痛みは人によって本当に「七転八倒」するほどだとか、失神出来た方が楽、と言われるくらいに強い痛みと言われています。
医学的にはこうした痛みのことを「疝痛(せんつう)」と呼んでいます。
また、この疝痛以外には、血尿が生じることがあり、「疝痛と血尿」は上部尿路結石の症状としては2大特徴とされています。
ただ、痛みについては、結石が小さくそのまま下部尿路へ抜けてしまい、自然排石できるような場合は、あまり自覚するような痛みがないという人もいます。
上部尿路結石の症状の特徴まとめ
- 激しい疝痛
- 血尿(ただし気づかない程度の場合もあり)
- 腰背部痛
- 下腹部痛
- 吐き気やおう吐を伴うことも
※上部尿路でも、腎杯・腎盂にできた結石の場合は鈍い痛みを感じる以外、症状がみられないこともあります。
下部尿路に結石ができた場合
上部尿路に対して下部尿路というのは膀胱以下の尿路を指していて、具体的には膀胱・尿道を指します。
では、下部尿路のそれぞれの働きについてみていきましょう。
膀胱
3層の平滑筋で袋状の器官である膀胱は、成人の場合だと平均500mlほどの蓄尿ができる「尿を溜める器官」であると同時に、尿を排出する「排尿」器官でもあります。
尿管によって運ばれた尿は、膀胱で溜められ、大脳に「尿が溜まっている」という信号が送られることで、排尿の指示を感じることで私たちは適切に排尿することができるのです。
尿道
膀胱から体外へ尿が排出される際に、尿が通る管が尿道です。
男性の場合は膀胱の出口で精管と接続しているので、このために尿路感染症になると、前立腺や精管が細菌などに侵される場合もあります。
また、女性は膀胱から体外までの尿道の長さが3~4cm程度しかないため、尿路感染症になりやすくなります。
この尿路感染症(例えば膀胱炎など)を繰り返すことで尿路結石を引き起こしやすくなるので、膀胱炎を起こしやすかったり、再発を繰り返している女性は尿路結石により注意が必要となります。
男性の場合も、高齢化して前立腺肥大になっていくと、尿の排出困難などから結石を引き起こしやすくなるので、注意が必要となります。
さらに、膀胱結石の性差別の発症数は、男性:女性=4:1と男性が圧倒的に多く、女性の患者数は稀となっています。
そして、男性の場合は尿道と一口に言っても、生殖器との接合などがあったり、尿道自体が女性より長いために、膀胱頸部である「後部尿道」や前立腺部尿道、外尿道括約筋、尿道球部、尿道振子部、外尿道口近傍などに結石が見られたりします。
下部尿路結石の痛み
下部尿路結石も、上部尿路結石と同様に、突然の腰背部痛、側背部痛、下腹部の激痛などで症状が現れることが多いようです。
他には、尿道に結石ができていることから、外陰部への放散痛や鼠径部への放散痛も認められることもあります。
また、結石の大きな特徴として挙げられる「血尿」も見られることがあります。
下部尿路結石の症状の特徴まとめ
- 腰背部・側背部・下腹部(特に下腹部)の突然の激痛
- 排尿時の痛み
- 血尿(気づかない程度のこともあり)
- 吐き気・嘔吐がある場合も
- 尿道結石が尿の通りを中断させると排尿障害が起こるため、膀胱に尿が残るので頻尿や尿意切迫などが起こることもあります。
結石は再発が一番怖い病気です。まずは「結石にならない」こと。そして「再発させないこと」が何よりも大切です。
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